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日本住宅教室 Weblog

日本住宅教室2009 建築デザイン 堀部安嗣コース 第5回(見学会)

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堀部先生のコース第5回目の今回は、
待ちに待った住宅見学ということで、いつもの教室を飛び出して
土曜日の午前中に集まりました。

どちらを見学させて頂けるかは、授業開始当初は未定でしたが、
2008年に竣工した2世帯住宅を拝見させて頂けることに。

前日の悪天候とはうって変わって、少し肌寒いものの、
すっきりと晴れ渡った気持のよい青空のもとの見学会となりました。

坂のある住宅地の一角にあるお宅に向かう道すがら、
自分の足で歩いてその街の空気を感じるだけでも、
写真からでは得られないものが多々あります。

図面を読み解いて心待ちにしていた私たちを、
お施主様は快く迎え入れてくださいました。
これらのやり取りにも、先生とお施主様との間に築かれた
信頼関係が垣間見えるというもの。

今回のお宅は、長年住まわれた家があった場所に建てられたもので、
広く開かれた窓の外に、さるすべりやシャラの林など、
以前からある庭の木々がそのまま残されていました。
階段・エレベーターホールを中心に3間角の4つの部屋が配置されているプランにより、
それぞれ特徴的な庭をつくりだすことができたといいます。
見学途中、お庭のお手入れをされるお施主様のお姿を拝見することができ、
これまで愛されてきた庭を介して、そこで営まれてきた暮らしの流れを
新しい家での生活に繋げたい、という設計の意図を
はっきり感じることができたような気がします。

また、至るところに飾られた現代美術の作品の数々が印象的で、
お施主様が収集されてこられたというこれらが
設計のよりどころになったというお話も伺うことができました。

3間角という寸法についての、
「今回のような大勢の人数が入ることもでき、且つ、
ひとりでいても寂しさを感じさせない」というお話には、
体感しているからこそ大きく頷ける場面もありましたし、
現場で決めることの重要性や、バランスの大切さ、
建具、ガラスの装飾部や腰壁、構造などについての詳しい説明を頂くとともに、
受講者の方からも、照明の考え方や、塗装などの仕上げや細かい納まり、
施工方法などについての質問が飛び交いました。
さらに、これまでの授業の中でもお話のあった、
「サーバント部分の充実があるからこそキレイに暮らすことができる」、
ということも実際に目の当たりにすることができました。

階段室の周りに配された吹抜けは、
「光の井戸」
という、先生の仰る表現がぴったりで、受講者の方からも
「こんなにわずかな吹き抜けなのに、これほど豊かになるなんて!」
と感嘆の声も聞かれ、
敢えて照明をつけずに地下へ降りてその光を楽しんだり、
上から、下からのぞきこむ姿が見られました。

自由に見て回るお時間も頂き、地下から3階まで、銘々の想いで堪能し、
受講者の方同士の会話もはずんでいたようです。

最後は外に出て、建物のインフラについてなど、どこから見ても美しい外観の秘密や、
奈良時代のお寺の雰囲気にしたかった、とのお話なども伺い、見学会は終了。
皆さん、建物を振り返りつつ、名残惜しそうに後にされるのでした。

その後、お時間の許す方々で昼食をとり、
いつもの時間帯とは違った明るい光の中、新鮮な気持ちで
また改めて親睦を深めることができました。

見学が実現できたのは、もちろんお施主様のご厚意があってのこと。
実際に生活が始まっているお宅を見せて頂ける機会はなかなかないのでは、
と思います。
この場をお借りして、お礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。

さてさて、次回はついに最終授業!
今回拝見した住宅を設計するに当たっての
「苦心の顛末」(!?)
をたっぷりお聞かせ頂くことになっております。

text by marie sakai
photo by kumiko toishi

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# by n-j-k | 2009-02-23 19:00

日本住宅教室2009 伝統木造設計 木内修コース 第2回

2月18日(水)、伝統木造設計コースの2回目。
今回も、150枚のスライドと、わかりやすい図説資料も用意してくださり、授業開始。

「クライアントが『和風』とか『数奇屋』といっても、4種類の美意識があり、その違いを理解し、作るときに混ぜないようにこと。」
「書院造が千利休の茶室の影響を受けて数奇屋ができた、と言われているが、必ずしもそれだけではない」
多くの事例を挙げながら、宮廷文化からくる数奇屋風書院、武家文化からくる数奇屋風書院、文人趣味の数奇屋、建築家による現代数奇屋の4種類の美の概念について、時代変遷とその違いを説明。

続いて、数奇屋に欠かせない床の間や床脇の登場や変遷について、これまた多くの事例写真と図により解説。

そして、受講者の要望にこたえ、「木割術」について。
木内先生が実際に設計した「五間堂」と「楼門」の事例をあげ、実際にどのようにして木割を決め、平面や立面や屋根のプロポーションを決め、三手先組物(みてさきくみもの)を決めて行ったか、木割の計算表やこれを元に起こしたCAD図面も見せながら語る。
「『匠明(しょうめい)』の木割書の通りに作るとかっこうわるいことが多いので、これを参考にしながら、多くの実物を見に行きプロポーションがいいと思ったものを自分で分析するしかない。」

偶数回には、懇親会をすることになりました!
建築の仕事にかかわる情報交換から、自宅でのお米作りやお酒、たけのこ狩り、マツタケ狩りの話まで、、、
お味噌など、いろんな発酵モノを自作している受講者の方も。
木造好きはおいしいものも大好き?

ご希望者は3回目からも参加できます。ぜひお越し下さい。

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日本住宅教室2009 伝統木造設計 木内修コース 第2回_e0148986_18473428.jpg

posted by kumiko toishi



# by n-j-k | 2009-02-19 18:49

日本住宅教室2009 照明デザイン 戸恒浩人コース 第6回

2月9日(月)、照明デザインコースも、とうとう最終回。

前半は、「空間ごとの計画ポイント(4)ポーチ・玄関・門、外観」。
公園や店舗などと同じようにしてしまうと、「やり過ぎ」になってしまいがちな住宅照明のデザイン。
建築の特長を読み取って配置しながら、住まいらしく品良く、奥ゆかしく、しかも適切な光量が回るように仕上げるためのポイントを、数々のパターンに分けて細かく伝授。
また、イメージ通りの光になるように、選ぶ光源や器具の選び方や良く使うメーカー、そして器具を向ける方向など普通の人が考えるのとは違う使い方も紹介。

後半は、「スイッチ計画」。
普通のローカルスイッチから、センサを使った制御、大邸宅のためのシーン制御やリモコン制御まで、メリット・デメリット、そして実際のクライアントのさまざまな要望も含め、難しいコントローラーの使い方もわかりやすく解説。

終了後に懇親会。
先生の最近のお仕事の話など、さまざまな話題で盛り上がりました!
たくさんのイラストや写真が入ったテキストを毎回作って用意してくださり、わかりやすく楽しいご講義をありがとうございました。コース受講中から習ったことをさっそく仕事に活かし始めている方もいて、大変充実した6回でした。

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posted by kumiko toishi



# by n-j-k | 2009-02-12 19:10

日本住宅教室2009 建築デザイン 堀部安嗣コース 第4回

1月28日(水)、堀部先生のコースの第4回目でした。

いつものように前半は、影響を受けた建築。
ウッツォンのキンゴーハウスとオペラハウスの、幾何学的かつ有機的なデザインの作られ方、構造について解説。
ほかに、ル・トロネ修道院、ブランクーシのアトリエ、阿蘇山の火口、熊本城の石垣、屋久島の風景、奈良公園、アルテピアッツァ美唄、山形の紅葉、冬の雑木林の風景、八ヶ岳、沖縄の民家、重要文化財中村家、首里城の石垣、ポルトガルの風景、、、たくさんの写真とコメントが続く。

そして、今回は建築だけでなく絵画も登場。
よく参考にしており作品プランにも拝借したというエドワード・ホッパーの数点の絵について、堀部先生独自の見方、解釈。
ほかに、ハンマースホイ、モランディ、アンドリューワイエス。
「建築をやっていると、機能とか理屈がなければいけない、と、モダニズムの時代の何か・・・。
 モランディの、こういう、意味なくビンが並んでいる絵を見るとホッとします。
 意味がなくたって、建築だと思います。
 ときどき一緒に仕事をするのですが、彫刻家からも非常に影響を受けます。」

後半は堀部先生の建築作品の解説。赤城のアトリエ、八ヶ岳の家、府中の家。
数々の条件を満たすための解として、多角形シリーズが誕生した経緯も解説。
「ハレの場を支えるユーティリティー部分をよく考えて作ります。
 一番やりたくないのが、リビングの窓をかっこよくつくろうとか、ハレの場を力んで作ること。
 必ず醜くなります。」

次回は、見学会です!

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posted by kumiko toishi



# by n-j-k | 2009-02-06 18:24

日本住宅教室2009 伝統木造設計 木内修コース 第1回

1月21日(水)より、伝統木造設計コースが始まりました。
全6回に通ずる大きなテーマは、「伝統と創造」。
「新しい創造をするためには、まず伝統に学ばなければいけない」と考える木内先生が、長年かかって積み上げていらしたた経験と知識を伝授くださります。

第1回の前半は「日本建築の特質と伝統技術の継承」。
120枚の貴重なスライドとともに、用意してくださった資料の数々。「五意」の意味、中国から伝来して徐々に日本的な表現に変わっていく建築意匠の変遷、そしてそのポイントとなっている構造や技術について、伊勢神宮、法隆寺、平等院、東大寺、唐招提寺、などの事例を挙げながら、わかりやすい解説。

小屋裏の写真を見せながら、「このとき、ちょうど大きな台風が来ていて、この時代の建物が周期1秒くらいで揺れるのを体感しました」。実際に仕事として関わってきた話や、実験の結果、わかったことなども教えてくださり、迫力があります。

後半は「伝統的な設計手法 - 木割術、規矩術、継手・仕口」。
木割の時代変遷、「間面記法(けんめんきほう)」という平安時代から鎌倉時代の平面図の読み方、さらに「軒反り(のきぞり)」の時代変遷や作図方法について。最後に継手・仕口について、たくさんの貫(ぬき)構造の事例も挙げながら、手描きの図を使って解説。

木内先生の明快な説明により、意匠と構造の間に密接な関係があることが、とてもよくわかります。
ご参加者からの「木割」・「軒反り」・「構造計算」について、特に詳細をお聞きしたいという希望を取り入れ、予定よりプログラムを強化していくことになりました。
ご著書「現代棟梁の設計術」(新建築)も全員にプレゼントいただきました。ありがとうございます!


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日本住宅教室2009 伝統木造設計 木内修コース 第1回_e0148986_17165584.jpg

posted by kumiko toishi



# by n-j-k | 2009-01-30 17:37
日本住宅教室
by n-j-k

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