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日本住宅教室2010 中村好文 / 家具デザイン塾 第2回

中村好文 / 家具デザイン塾 第2回は久々のレクチャー、教室での授業でした。

ホワイトボードを使って、そして実例の写真やディテール図面をお見せ下さりながら、

・これまで先生がデザインされてきた様々なテーブルや椅子、棚や照明のバランサーに至るまでの構造や手法についての詳しいご説明や、

・デザイナーの恣意ではなく何度もの実験を経て辿り着く、自然の掟に逆らわない暖炉づくりのお話、

・先生の家具の師匠であるという「李朝」と「シェーカー」について、

・大学の学生さんたちと実施なさったリートフェルト展のこと、

・吉村順三先生との会話の数々、

など、とにかく内容は盛りだくさんです。

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先生は家具について、

「何でもいいから一つ大きなテーブルをやってみると、何をしなければいけないかがわかる。見ているだけだと課題が出てこない。一つ始めたら頭がそういう風に動くようになる。一つの家具を考えようと思うと次々に問題が出てくるので、どんどん、あれはまずいな、とずーっと考えることになる。おもしろいよ。時間がいくらあっても大丈夫!」

とおっしゃっていましたが、そのお言葉通り、「今度はこうしよう」「この前のはここが悔しかったな」「次は板だけでできないか?」などと、家具をつくられる中で、次々と発想を展開され工夫を凝らされていく様子がよく分かりました。そして何よりそれを楽しみながらやってらっしゃることが伝わってまいりました。

そして、学生時代に譲り受けた椅子や何年も前の上海路上でのスケッチ、おもしろいと思って撮っておいた踏み台の写真などが、時を経て自分のかたちとして定着されていく、という過程も垣間見ることができました。

また、安曇野の「ちひろ美術館」のためにつくられた椅子の写真を見せて頂きましたが、真横に座るのではなく膝を寄せ合い、母親が幼い息子を大きく包み込んで絵本を読み聞かせるようにとデザインされたその椅子の背は、先生曰く「タチウオのような」独特の柔らかい曲線を描いているため、図面に起こすことは難しく、空中に指で何度も絵を描いたところに、10cm刻みで点を打ち測ってもらうことで実現させたといいます。

それができてしまう素晴らしい職人の方がいてこそのものだ、というそのお話は印象的でしたし、形見として譲り受けたお母様の桐箪笥を、爪の跡や古い金具など愛着はそのままにパッチワークのように構成しなおされた箪笥や、大小様々組み合わせ自由の小箱がいくつも納められた素敵な裁縫箱の持ち手が実は板の反りを防ぐ役割をも果たしていることなど、こちらには書ききれないほど本当に色々なお話を伺うことができ、先生の手による美しい家具が、いかに合理的な構造や、材の特性への理解、巧みな技術に支えられたものであるか、を知ることができました。

好文先生は、日々の暮らしの中で実際に家具を使い、身をもって学んでこられたとおっしゃいます。
ご自身が使ってきた椅子は、座ったらすぐにお分かりになるとか。先生の家具には、至る所に細やかな気配りが感じられますが、それもやはり、家具とともに暮らすという先生ご自身の生活の中から生まれてくるものなのでしょう。

授業では次回講評会を迎える課題についても、「リートフェルトという人は、やれることは全部やろうという頭の働きをする人らしい、その彼がまだやり残したことがあるのではないか」といったお話や、身体寸法と動作について考えてもらいたいという思いもあって、より建築的な方向性のある今回の課題を出すに至ったというお話がありました。

中村好文 / 家具デザイン塾も、いよいよ最終回の作品発表・講評会を残すのみです。どんな作品が生まれるのか、大変楽しみにしております。

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text by marie sakai
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# by n-j-k | 2010-07-23 15:33

日本住宅教室2010 中村好文 / 家具デザイン塾 第1回

中村好文/家具デザイン塾がスタートいたしました。

全3回の授業スケジュールは
 5/15 見学会
 6/12 レクチャー
 7/10 作品発表・審査会  の予定となっております。

今回は、先月までの住宅設計塾から引き続き参加されている方に新たな受講者を加え、葉山・鎌倉方面へ2軒の住宅見学に出掛けてまいりました。

日射しは強いものの夏にはまだ遠く、爽やかな風が吹くとてもよい天気に恵まれ、ちょっとしたピクニック気分です。

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1軒目の「葉山の家」は、ちょうど開催されていた葉山芸術祭に参加されているということで、手織りの着尺や小物など素敵な品々も並んでおり、手に取って吟味する姿もちらほら。吹抜けから階下を覗いてみたり、気持ちの良いお庭のテラスの椅子に座ってみたり、思い思いの時間を過ごしました。使われているテーブルも先生によるもので、しゃがみ込んで説明をして頂きました。

また、こちらでは先生の最新著『中村好文 普通の住宅、普通の別荘』(TOTO出版)も先行発売されており、ひと足お先に購入することができました。

2軒目の「明月谷の家」は高台にあるお宅で、路地を抜けたり坂道を登ったりと、辿る道々期待も膨らみます。

まず2階から見せて頂きましたが、階段を上がるそばから感嘆の声が上がっていました。それもそのはず、広々とした空間が広がっており、大きくとられた開口からの緑が目にも鮮やかです。しばし畳に座り込み、景色を楽しみました。

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窓枠が額縁になっていたり、部屋と部屋の間に小さい窓が設えられていたり、遊び心のある細かい演出を、皆さんしっかりカメラにおさめていらっしゃいました。また、1階と2階をつなぐダムウェイターでは、実演付きでお茶をごちそうになりました。

どちらのお宅も普段の生活の中にふと入り込ませて頂いたような、日々の温かい暮らしぶりが伺える良い見学会となりました。

電車・タクシー・徒歩、と移動する道すがら、見学したばかりの住宅の感想や何気ない世間話などのおしゃべりに興じるのも楽しいもので、今回から参加の方の中には家具を専門とされている方もいらっしゃるため、建築の設計とはまた違った視点で捉えられたお話も聞くことができ、刺激を受けることができました。

見学後は都内に戻り、ビルの42階にある見晴らしの良いお店で課題発表も兼ねた昼食会です。まだまだ陽は高いところにありましたが、気持ちのよい休日ということで、もちろんお酒もあり!そして購入した本にサインを頂いたりと、賑やかな時間が続きました。

発表された課題は、8立方メートルの室内に、容易に組み立てて設置できるデスクやベッド、収納など、個人用の空間装置をデザインする、というもの。使用する材にも条件があります。

リートフェルトへのオマージュとして、彼がまだやり残したことがあるはずという観点から、接合方法や構造も検討しながら多様な空間を考えてほしい、ということです。スケール感、身体感覚を養うことにも重きが置かれています。

次回はこの課題を踏まえたレクチャーの予定です。

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text by marie sakai
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# by n-j-k | 2010-05-19 14:55

日本住宅教室2010 「中村好文・住宅設計賞」受賞者のご紹介

4月に行われた中村好文 / 住宅設計塾の審査会で、初の「好文賞」を勝ち取ったのは、かねこ建築製作所の金子正明さんです。

課題に対する解決方法は、コトコトとやわらかな木の音が聞こえてきそうなローテクさ、見ている人から思わずやさしい笑みがこぼれてしまうようなほっこり温かさの感じられる提案でした。好文先生だけでなく参加者から多くの支持を受けた提案で、みごと1位に輝きました。

他の方々の提案も、難しい課題だったにも関わらず、そして皆さんお仕事があるにも関わらず、それぞれよく考えられ、個性豊かに表現されていました。

これからもがんばってくださいね!

(写真は5月15日の見学会、葉山の家にて。左:金子正明さん 右:中村好文先生)

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posted by kumiko toishi
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# by n-j-k | 2010-05-19 14:20

日本住宅教室2010 中村好文 / 住宅設計塾 第3回

中村好文/住宅設計塾 第3回目の今日は初回授業で出された課題の講評会、みなさん日々のお仕事に追われながらも時間を割いて制作なさった模型やプレゼン資料を抱えての登場です。いつもの教室は審査会場へと変身し、早速それぞれの作品審査から始まりました。

今回出されていた課題内容は「肉体的なハンディキャップを負っている、家族の一員Aさん。このAさんの日々の暮らしにそっと寄り添い、不自由を軽減し、心豊かに暮らせる住宅の提案」でした。家族構成やハンディキャップ・敷地といった設計条件をも自分で設定し導き出された、それぞれの「解」が並びます。

受講者のみなさん自身が審査員でもあるため、一つひとつメモを取りながら模型や図面を見る様子は真剣です。審査時間内に一人5作品を選び、その得票の順に7作品が選出されました。

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選ばれた7作品は、設計者名を伏せたままシャッフルされ、7名は与えられた作品をさも自分のものかの様にプレゼンし、先生と審査員にまわった方々は、これら1作品ずつについて討議を行いました。

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討議では、形状の是非や手法についての鋭い質問が飛び出したり、自分にはない視点に気付かされたという感想など、自らも取り組んだ課題だからこその意見が聞かれました。

そして最終審査が行われ上位3作品が決定し、見事選ばれた3名の方々には、先生が監修され今や入手困難となっている希少本やオリジナルTシャツなどの賞品が贈られました!おめでとうございます!ちなみに、賞品を包む風呂敷までもが先生がトレードマークとされているネズミのイラスト柄のオリジナルで、他ではまず手に入らないとても羨ましい品々でした。

今回は課されたテーマについて教室一体となって考え意見を出し合うという、普段のレクチャーとはまた一味違った回となり、2時間半の授業時間がとても濃いものに感じられました。その後の打ち上げ会場でも、先生から授業中にできなかった講評を受講者の方お一人お一人にして頂きました。

住宅設計塾は今日で終了ですが、来月より引き続き中村好文先生の家具デザイン塾がスタートいたします。

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posted by marie sakai
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# by n-j-k | 2010-04-13 20:29

日本住宅教室2010 中村好文 / 住宅設計塾 第2回

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中村好文/住宅設計塾、第2回目です。当初の授業スケジュールが変更となり、本日は先生の設計された建物を見に行ってまいりました。

見学は「museum as it is」と「上総の家 #2」の2軒、東京駅発特急わかしお9号の車内に集合し、一路千葉方面へと向かいます。座席を回転させ、銘々お弁当を広げての移動は、ちょっとした遠足気分を演出してくれました。東京から1時間程の距離ですが、車窓の風景はがらりと変わり、思わず都会の喧騒を忘れてしまいます。

現地を移動する貸切バスでは、なんと今日の「しおり」も配られました。マイクを持った先生による建物についての説明と軽快なトーク(ジョーク?!)で、しばしば車内は笑いに包まれます。

1軒目は「museum as it is」、山の上の小さな美術館です。寸法を測ってみたり、さりげなくも細かい仕上げに目を凝らしてはスケッチブックに描き留めてみたり…。先生からは、しっくりと手になじむ手すりのこと、職人さんとのこと、そして、ものをつくるには「観察力」と「想像力」が大切、といったお話をしていただきました。空間に絶妙に配された展示品の中、思い思いの場所に佇む姿も見られ、美味しいコーヒーを飲みながらゆったりとした時間を過ごすことができました。

2軒目の「上総の家 #2」は、もともと1992年に竣工した住宅に手を入れたものだそうです。18年という年月で「疲れ果てた」状態だった建物が息を吹き返すまでの経緯と、それには愛情と人の手が必要だったこと、そして何より時間の経過に色褪せることのないデザインであったからこそ実現したというお話に、みなさん、真剣に耳を傾けていらっしゃいました。この住宅では、料理家の方のお料理を楽しむ会も開かれたそうで、好文先生の建物にはやはりおいしいたべものが不可欠のようです。

暖炉に火が入れられていたため、煙突からは白い煙がのぼり、耳を澄ますと薪のはぜる音が聞こえ、室内には芳しい香りが漂っていました。吹抜けの上階から眺めていると、火の周りに自然と人が集まり、立ち話が始まっていく様子がよくわかりました。

どちらの建物もそれぞれ約1時間、たっぷり拝見させていただきました。

関東地方は、前日気温が20度を超えるほどのお天気だったのですが、一転して本日は冷たい雨の中での見学会となり、傘を差しながらの移動ではありましたが、庭の濡れた枕木や水たまりに落ちる雨粒もなかなかの風情で、建物を包むしっとりとした雨が独特の静けさを醸し出すとともに、内部のあたたかな空気を一層際立たせてくれているようにも感じられました。

最後は東京に戻り、やはり先生が手掛けられたお蕎麦屋さん「石月」での懇親会です。こちらのお店には4、5人程が座れる小さな半個室が設えられており、「人が近い感じ」のする親密な空間を体験することができました。

おいしいお酒とお料理に舌鼓を打ち、楽しい見学会はこれにて無事終了。沢山のものを見て感じること、そしてその「体験」を「経験」に変えられるかどうかが重要、というお話も、先生からいただくことができました。

さて次回は、今度こそ本当に課題の提出です!
一ヶ月後を楽しみにお待ちしております。


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posted by marie sakai
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# by n-j-k | 2010-03-09 16:40
日本住宅教室
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